よくある相談事例Case studies

どんな検査や治療をするのか、認知症は治るのか。

どんな検査や治療をするのか、認知症は治るのか。

Q:どんな検査や治療をするのですか?

もし、ご自身のもの忘れが気になり始めたら、迷わずかかりつけ医に相談してください。自ら専門の医療機関を調べて受診する必要はありません。必要な場合にはかかりつけ医から専門医療機関に紹介してもらう事ができます。
医療機関で相談する際、認知症と診断された場合の人生設計、仕事、お金、家庭、住まい、車の運転など、様々なことに不安を感じるかもしれませんし、不安になると受診を躊躇する気持ちも沸いてくるかもしれません。しかし、このような場合でも思い切って早めに相談しておくことをお勧めします。認知症は早めに対応しておくことによって生活上の課題を小さくすることができるためです。

■問診・診察

本人と家族からこれまでの経過を聞き取り、状態の診察を行います。

■神経心理検査

認知症かどうかを調べるために行われる質問への回答や作業によって実施される検査です。一定の基準を下回ると認知症の疑いがあると判断されます。

■画像検査

頭部CT・MRIなどの画像検査、PET(脳の糖代謝検査)、SPECT(脳の血流の検査)などが行われます。また、レビー小体型認知症の診断のために、MTBG心筋シンチグラフィーという検査が行われる場合もあります。

■血液検査、心電図検査など

電解質異常、感染症や免疫の病気、甲状腺の病気、栄養素の不足(欠乏症)などの評価を行います。

Q:認知症は治りますか?

A:認知症は、基本的には徐々に進行して、「治す」治療は原則ありません。

1.アルツハイマー型認知症

もっとも一般的な認知症で、徐々に症状が進行します。
進行を遅らせる薬はありますが、進行を止めることはできません。

2.脳血管性認知症

脳血管の障害から脳の細胞が死滅して物忘れが生じます。
脳血管障害の治療、再発予防が主体となります。
物忘れを治すことは困難です。

3.レビー小体型認知症

物忘れのほか、「幻視」や「パーキンソン症状」歩行障害などが認められることがあります。
進行を遅らせる薬はありますが、治すことは困難です。

4.前頭側頭型認知症

脳の前頭葉・側頭葉が主に萎縮するタイプの認知症です。
物忘れは比較的少ない一方、行動面の変化やそれに伴うトラブルなどが目立つことがあります。
基本的には改善薬はなく、主には精神面やトラブルの対策になります。

改善が期待できる認知症

うつ病でも認知症と似た症状が出ることがあります。
この場合には、うつ病の治療で改善を見込めることがあります。

■内科疾患

電解質異常、感染症や免疫の病気、甲状腺の病気、栄養素の不足(欠乏症)などで、認知症の症状を呈することがあります。その場合、原因となる疾患の治療をすることで改善が見込めます。

■慢性硬膜下血腫

脳の硬膜の下に血液が溜まることにより、脳が圧迫されて認知症症状が出現します。手術によって血種を除去することで改善が見込めます。

■正常圧水頭症

脳の髄液が増えて周りの脳を圧迫して認知症症状などが出現します。手術(シャント術)で改善が見込まれます。

回答者

宇都宮市医師会 市原 征洋 先生

宇都宮市医師会理事 市原 征洋 先生
・宇都宮市地域包括ケア推進会議認知症対策部会部会長
・医療法人いちはらファミリークリニック院長
医療法人いちはらファミリークリニック公式サイト